スプライン・キー溝の精密加工|内径ワイヤーカット

スプライン・キー溝の精密加工|内径ワイヤーカット|阪神精工
機械部品の内径には、軸からトルクを伝えるためのスプラインや、回り止め・位置決めに使用するキー溝が設けられることがあります。
一般的な丸穴とは異なり、スプラインでは複数の歯を一定のピッチで配置し、キー溝では内径から一方向へ溝形状を追加する必要があります。
「内スプラインを1個だけ製作したい」
「ブローチを作るほど数量がない」
「焼入れ後の部品へキー溝を追加したい」
「内径とスプライン、キー溝の位置関係が重要」
このような貫通形状では、ワイヤーカット放電加工が加工方法の候補になります。
阪神精工では、内径スプライン・キー溝・セレーション・異形内径などについて、図面やCADデータから加工方法を検討します。
内スプラインは「歯が並んでいればよい」形状ではない
内スプラインでは、複数の歯が円周上に配置されています。
加工時には単純な内径寸法だけでなく、
- 歯数
- 歯形
- ピッチ
- 圧力角などの歯形条件
- 大径・小径
- 歯幅
- 基準位置
- 寸法公差
など、図面に定義された形状全体を確認する必要があります。
特に相手となるスプライン軸とかみ合う部品では、1枚の歯だけではなく、全周の歯形と位置関係が機能そのものになります。
そのため内スプライン加工では、加工方法だけでなく、加工データを正しく作成できる情報が揃っていることも重要です。
ワイヤーカットで内径輪郭を一体加工
ワイヤーカット放電加工では、細いワイヤ電極を加工部へ通し、NCデータに沿って輪郭を加工します。
そのためワイヤが貫通できる形状であれば、
丸穴+キー溝
内スプライン
セレーション
複数の切欠き
特殊な異形内径
などを、一つの内径輪郭として加工できる場合があります。
阪神精工では複数のワイヤーカット放電加工機とCAD/CAMシステムを保有しています。
切削工具の回転半径で形状を作る方法とは異なるため、内径の細かな凹凸や複数の歯を持つ貫通輪郭でも加工方法の候補になります。
ブローチ加工との違い
内スプラインや内径キー溝では、ブローチ加工が使用されることがあります。
量産品では専用工具を使用することで効率よく加工できる一方、
「試作で1個だけ必要」
「補修部品を数個だけ作りたい」
「特殊歯形なので専用工具がない」
「設計変更の可能性がある」
といった案件では、専用ブローチを準備することが合理的でない場合があります。
ワイヤーカットでは専用の歯形工具ではなく、加工プログラムによって輪郭を作るため、単品・試作・特殊形状の内径加工を検討しやすい点が特徴です。阪神精工の既存記事でも、少量の内径キー溝や特殊輪郭でワイヤーカットを活用する考え方を紹介しています。
キー溝は「幅と深さ」だけでなく位置も重要
キー溝では、
- 溝幅
- 溝深さ
- 内径からの位置
- 基準面との角度
- 他の穴や形状との位置関係
を確認します。
さらにスプラインとキー溝など、複数の内径形状が同じ部品に存在する場合には、歯とキー溝の位相関係が指定されることもあります。
例えば、
「特定のスプライン歯に対してキー溝中心を合わせる」
「外周穴を基準として内径形状の角度を決める」
といった設計です。
このような部品では、スプラインとキー溝を別々の形として考えるのではなく、部品全体の基準から位置関係を確認することが重要です。
焼入れ後の内スプライン・キー溝
焼入れ後の工具鋼など、高硬度材では切削工具による内径加工が難しくなる場合があります。
ワイヤーカットは切削工具で材料を削る方式ではなく、放電によって材料を除去します。
阪神精工では、焼入れ後の高硬度材への内スプライン加工やSKH51のキー溝加工についても制作実績ページで紹介しています。
ただし実際の加工可否は、材質・硬度・部品寸法・輪郭形状・要求精度などを確認して判断します。
ワイヤーカットでは「貫通できるか」が重要
内径ワイヤーカットで見落とせないのが、ワイヤを加工部分へ通せるかどうかです。
ワイヤーカットは基本的に貫通輪郭を加工する方法なので、
貫通スプライン
貫通キー溝
では候補になりますが、
止まりキー溝
途中で終わる内スプライン
などでは、そのまま同じ方法を使用できない場合があります。
止まり形状では、形彫り放電や他の加工方法を含めて検討する必要があります。
ご相談時に確認したい図面情報
内径スプライン・キー溝では、可能であれば次の情報をご提示ください。
- 材質
- 熱処理・硬度
- 部品外径・全長
- 内径
- スプライン形式
- 歯数・歯形
- 大径・小径
- キー溝幅・深さ
- スプラインとキー溝の角度関係
- 寸法公差
- 基準面
- 貫通/止まり
- 数量
歯形が特殊な場合は、詳細図やCADデータもあわせてご提供ください。
内径形状だけ外注したい案件にも
旋盤や研磨まで完了した部品に、
「スプラインだけ加工したい」
「内径キー溝だけ追加したい」
「丸穴まで仕上げた部品を異形内径にしたい」
といった工程分担も考えられます。
阪神精工では、ワイヤーカット・マシニング・研削など複数の加工設備を保有しています。
スプライン・キー溝・セレーションなど、切削工具や専用ブローチでは対応しにくい内径形状について、図面から加工方法をご相談ください。


